オフィスの新築には、数千万円から数億円もの資金が必要となります。また、オフィスの改装や移転に際しても、数百万円から数千万円のコストがかかります。そのため、オフィスの新築、移転、リニューアルは企業にとって非常に重要なイベントであり、数年から数十年に一度の大きな節目となります。

経営者としては、投資に見合う効果を得たいと考えることが当然であり、社員も新しいオフィス環境に期待を抱きます。しかし、実際のオフィスプロジェクトでは、以下のような問題が頻繁に発生します。

〈経営者の立場〉

• 新オフィスに対する期待を伝えても、満足のいくプランが提示されない
• 提案されたプランに対して、投資対効果を得られないと感じる

〈社員の立場〉

• 新しいオフィスプランを何度も業者と協議したにもかかわらず、最終的に経営者から却下される
• 予算や期限、スペースの制約がある中で、経営者の要求を満たすことが難しいと感じる

その結果、最終的に妥協せざるを得ず、期限に追われてオフィスプランを決定するケースが少なくありません。

こうした問題は、オフィスの「コンセプト」を明確にすることで解決が可能です。今回は、経営者と社員が共に理想とするオフィスを実現するために必要なコンセプト設定の方法について解説します。オフィスの新築や移転、リニューアルを検討している方々にとって役立つ内容です。

①オフィスづくりのコンセプトとは？

オフィスづくりのコンセプトとは、オフィスで達成したい目標や企業の理念・ビジョンをどのようにオフィス空間に反映させるか、またどのような働き方を実現するかを具体化した方針です。コンセプトを明確に設定することで、次のようなメリットがあります。

• 優先順位がはっきりし、意思決定が容易になる
• 理想のオフィスのイメージを全員で共有しやすくなる
• 目指す目標を具体的にイメージでき、プロジェクトがスムーズに進む

明確なコンセプトがあれば、経営者やプロジェクトリーダーの意図するオフィス像を社員全員に分かりやすく伝えられ、予算やスペースの制約があっても、合理的な選択が可能になります。結果として、オフィスづくりが効率的に進行し、全員が納得しやすくなります。

②オフィスづくりのコンセプト事例

オフィスづくりのコンセプトは、企業の経営課題や文化、目指す方向性により様々です。以下にいくつかの事例をご紹介します。

• コミュニケーションを促進するカフェスタイルのオフィス
• 部門間の連携を強化するコラボレーションスペース
• 出社が楽しみになるリビング風オフィス
• アイデアが生まれるリフレッシュ＆リラックス空間
• 創造性を刺激するアウトドアスタイルのオフィス

自社に適したコンセプトをプロジェクトチームで検討してみてください。

③オフィスづくりのコンセプトの作り方

オフィスのコンセプトを決めるには、以下の手順を踏むことが重要です。

1. モデルオフィスの視察
2. 自社の現状を分析する
3. 経営者が長期的ビジョンを示す
4. 新オフィスのアイデアを出し合い、優先順位を決定する
5. コンセプトとしてまとめる

それぞれの手順について詳しく説明します。

1）モデルオフィスの視察

他社のオフィスを視察することで、取り入れたいデザインやアイデアを具体的にイメージできます。当社では、モデルオフィスの視察サポートも行っていますので、ご相談ください。

2）自社の現状を分析する

全社員を対象にアンケートを実施し、現在のオフィス環境や働き方の課題、新オフィスへの期待を明確にします。当社では、社員アンケートの実施も支援しております。

3）経営者が長期的ビジョンを示す

オフィスは長期間にわたって利用されるため、経営者や経営幹部が中長期的な視点でのビジョンを示すことが重要です。これにより、オフィス計画のズレを防ぐことができます。

4）新オフィスのアイデアを出し合い、優先順位を決定する

プロジェクトメンバーが集まり、アイデアを出し合い、特に実現したい内容を優先的に決定します。

5）コンセプトとしてまとめる

選定したアイデアを基に、シンプルでわかりやすく、実現可能なコンセプトを策定します。

今回は、オフィスづくりにおけるコンセプトの重要性とその設定方法を説明しました。コンセプトを明確にしてから専門業者に依頼することで、理想的なオフィスを実現できるようになります。オフィスプロジェクトの最初のステップとして、コンセプトの設定から始めてみてください。

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